2007年10月11日木曜日
展覧会ための必備アイテム
展覧会は、古代の巻物を直接見ることのできる貴重な機会です。この秋も、古代の巻物があちらこちらの博物館・美術館で展示されます。
展覧会で、古代の巻物を味わうためのコツと道具を紹介します。
��1)展覧会の見方
・まず、展覧会でどのような文化遺産が展示されるか、その博物館・美術館のホームページで情報を得ます。その情報をもとに、しっかりと見ておきたいものを絞っておきます。
・展覧会場では、できるだけ軽装にします。観覧に必要な道具以外は、すべてコインロッカーかクロークに預けてしまいます。会場は暑いことが多いので、上着も預けた方がよいでしょう。脱いだ上着を持っていると、かなり邪魔になります。
・展示図録は、観覧する前に購入しておくのがコツです。図録の写真に、観察したことを書き込みます。写真の色は、大抵実物とは違っています。ひどい場合には、撮影のための照明で表面が反射して、よく見えないこともあります。
��*最近の東京国立博物館や京都国立博物館の展示図録は、異様にぶ厚く重いものになっています。あまり厚く重い場合には、観覧の後に購入する方がよいでしょう。)
・展覧会では、見たい巻物のあるコーナーに真直ぐ向かいます。多くの人は、入口の「挨拶」を丁寧に読み、順路通りに見ていますが、この見方をすると、見たい巻物のコーナーに着いた頃にはへとへとになってしまいます。
��*一般に、展覧会では入口付近のコーナーは大混雑ですが、終わりの方は大分すいているものです。なお「挨拶」は、図録にまったく同じ文章が載っています。)
・目当ての巻物のあるコーナーに着いたら、図録にメモを書き込みます。まず全体の印象。主観的な印象は、意外に大切です。次に、図録の写真と照合します。色が違う場合には、実際の色をメモしておきます。それから、細部を観察してゆきます。
・コーナーには、展示品の解説がありますが、これを写す必要はありません。普通は、図録に同じ文章が書かれています。展示会場で、解説だけを読んでいる人がたくさんいますが、大切なことは、「自分の目」で、巻物を見ることです。
・巻物は見るべきポイントがたくさんありますので、細部を観察するには、かなり時間を要します。ゆっくり見ていると、他の人の邪魔になってしまうことがあります。人が増えてきたら、観察するポイントを変えて、少し移動するようにします。体をほぐせますし、トラブルも避けられます。
��*巻物を見るポイントについては、別の記事で紹介します。)
��2)展覧会に必備のアイテム
・巻物に限らず、書物(冊子本)・絵巻物・掛け軸などを、展示会で細かく見るには、肉眼では限界があります。そこで、私は「至近焦点スコープ」(望遠鏡)を利用しています。これで、巻物の文字の美しさ、罫線(界線)の技術、料紙の様子、下絵の細部などを、はっきりと見ることができます。
��*上の写真の、ノートの左にあるのが、「至近焦点スコープ」です。ちなみに、私は、ヒルカインタナショナル社製の
SpecWell M0616 (6倍) 〔写真左〕
Specwell M1030 (10倍) 〔写真中央〕
を使っています(M1030 は45倍の顕微鏡として使うこともできます)。
最初は、M0616だけで充分です。さらに細部を見たくなった時に、M1030も揃えればよいでしょう。価格は、それぞれ、14,000円前後です。やや高価ですが、長く使えますので、決して高い買い物ではありません。
��*本当に驚くほどよく見えます。「至近焦点スコープ」で見ていると、隣の人が自分にも貸してほしいという目で訴えてくることが何回かありました。)
・小さいノートとプラスチック・ボードも必ず用意します(もちろん筆記用具も必要です)。図録がない場合もありますし、図録に書ききれない場合もあります。また展覧会場の照明が暗くて、図録の文字が読めないこともあります。
それでは、古代の巻物との良き出会いを、心よりお祈りいたします。