2007年11月15日木曜日
湘南の万葉学
湘南の地は、『万葉集』と深い関わりがあります。「仙覚律師の踏みあと」「仙覚の万葉学と由阿」のふたつの記事で、その一端を紹介いたしましたが、この関わりは、あまり広くは知られていません。
是非、神奈川に住む皆さんを中心に、湘南における輝かしい万葉学の歴史を知っていただきたいと思い、3年前に、朝日カルチャーセンター・湘南で「湘南の万葉学を歩く―仙覚と由阿の踏みあとを訪ねて」という公開講座を開きました。
妙本寺、遊行寺の皆様のご協力も得ながら、仙覚と由阿ゆかりの地を、多くの参加者の皆さんとともに散策しました。本当に楽しい、秋の半日でした。
「仙覚律師の踏みあと」「仙覚の万葉学と由阿」のふたつの記事は、この時の印象を下地にしています。実際に、その地を訪ねてみると、たくさんの発見があります。足で歩き、その地の光と空気を感ずることの大切さを、改めて認識しました。
そして、何よりも、熱意あふれる皆さんとともに、先人たちの踏みあとを、生き生きと感じられたのが、最大の収穫でした。
この他、東国には、
・埼玉県小川町 (仙覚が『万葉集註釈』を完成)
・茨城県行方郡 (『万葉集註釈』に、この地の詳細な情報を記す。なお仙覚は常陸国生まれ)
・神奈川県南足柄市関本 (仙覚はこの地で、実地調査を行う)
など、仙覚に関わる土地が、まだまだあります。また、鎌倉には、由阿の歌の師・冷泉為相(れいぜい・ためすけ)ゆかりの地もあります。そして、もちろん、『万葉集』の東歌には多くの土地が詠まれています。
東国の万葉学ゆかりの地に住まう皆さんに、もっともっと万葉学や、『万葉集』について知っていただき、そして『万葉集』のサポーターになっていただきたいという思いを、ますます強くしております。
��湘南のゆかりの東歌から]
まかなしみ さ寝に我は行く 鎌倉の 美奈能瀬川に 潮満つなむか (巻14・3366)
(まかなしみ さねにわはゆく かまくらの みなのせがはに しほみつなむか)
*美奈能瀬川=鎌倉大仏の東を流れる稲瀬川。