2010年7月17日土曜日

小川靖彦『万葉集 隠された歴史のメッセージ』

万葉集(選書)

万葉集とは何か
��小川靖彦『万葉集 隠された歴史のメッセージ』角川選書、角川学芸出版、四六判296頁、2010年7月刊、1600円〈本体〉)

このたび、私の新しい本『万葉集 隠された歴史のメッセージ』が、角川学芸出版から角川選書の1冊として刊行されました。発売予定日は7月23日(金)でしたが、21日(水)から書店、インターネットで販売が始まっています(書店では、選書の棚に置かれています)。

この本は、“万葉集とは何か”について考えた万葉集入門書です。『万葉集』という「書物」を全体として捉えて、その魅力と歴史的意義を示すことをめざしました。

書名は、『万葉集』という「書物」が何のために製作されたのかを考察した、第一章に基づいています。『万葉集』を巻子本(巻物)として、連続的に読むと、『日本書紀』とは異なる〈歴史〉が見えてきます。

表紙は日本画家の安田靫彦画伯の「飛鳥の春の額田王」(滋賀県立近代美術館蔵)です。

この本が『万葉集』への水先案内となれば幸いです。
【目 次】
はじめに

第一章 『万葉集』という「書物」-「やまと歌」による〈歴史〉の創造
     【第一章のための基礎知識】
一 「書物」としての『万葉集』
二 皇統の《始祖》-一番歌・雄略御製
     【コラム1・一番歌はいつ作られたか】
三 満ち足りた実りの国-二番歌・舒明御製
四 歴史上の舒明天皇
     【コラム2・不思議な標目】
五 天皇による統治の完成への歩み
六 藤原宮の主・文武天皇
     【コラム3・皇位継承の次第を示す配列】
七 巻子本であった『万葉集』
八 成長する「書物」・『万葉集』
     【コラム4・音読から黙読へ】

第二章 万葉歌人たちの詩の技法
     【第二章のための基礎知識】
 一 額田王の〈媚態(コケットリー)〉
 二 柿本人麻呂の想像力
 三 山上憶良の悟り得ぬ心
 四 大伴家持の孤独
 五 作者未詳歌の輝き

第三章 漢字に託す心-漢字で書かれた「やまと歌」
     【第三章のための基礎知識】
 一 巻一の書記法-記憶に支えられた大胆な表記
 二 『万葉集』の《文字法》
 三 漢字から「かな」へ

第四章 万葉集古写本の世界
     【第四章のための基礎知識】

引用文献一覧/学びの導き手
おわりに


角川書店のホームページ
【訂正】誤植がありましたことを、お詫び申し上げます。
                    (誤)             (正)
46頁9行               ことば選んだ        ことばを選んだ
118頁17行             九世紀半ばまでの     十世紀半ばまでの
142頁2行「石見」の振り仮名  いわみ            いはみ