2008年6月10日火曜日

書家・書道史研究家 飯島春敬氏の志

インタビュー1

飯島春美先生インタビュー、そして「春敬の眼」展の開催

先の記事「第43回秀華書展特別資料展示「古典かなの美」展」で、紹介しました秀華書展を開催された、財団法人・日本書道美術院理事長の飯島春美先生のインタビュー記事が、『財界』誌2008年4月22日号と、5月13日号(春季特大号)に掲載されました。

飯島春美先生のおことばを通して、改めて、書家で、国文学・美術史・書道史の研究者でいらした、飯島春敬(いいじま・しゅんけい)氏の、書と研究にかけた情熱を実感しました。

「春敬コレクション」について(教育庁に届けている品は約900点)
「日本書道史の資料となるものは、殆ど収めました。とにかく父一代で特に仮名文字の変遷を示す莫大な資料を集めたのですから、驚きというより感動さえおぼえます。本当に父の鑑識眼には脱帽します。」
��飯島春美先生〔以下同〕。4月22日号)

飯島春敬氏の所蔵していた『源氏物語』の写本
「父は『源氏物語』五十四帖も持っていました。今年は『源氏物語』が生まれて千年になりますので、今夏の「第六十回毎日書道展」の特別展示に出陳いたします。室町時代に書写された本です。
現在、世の中に出ている青表紙本・河内本・別本『源氏物語』の取り合わせ本ではなかろうかと、中央大学の池田和臣先生がご精査中です。」


��春敬氏が、書のコレクションだけでなく、国文学資料も集めていたのですね、という質問に対して)
「父は学問が好きでしたから、それが門外不出の資料として蔵に入っていたんです。」
��5月13日号)

また、「細やかで、とにかく人の心の機微がわかる、やさしい人でした」という春美先生のおことばから伺える春敬氏のお人柄に、私までもなつかしさを覚えました。

第1回(1965年)以来、日本書道美術院が、秀華書展を、百貨店で開催してきたのは、「“飛行場の格納庫”みたいな広くて大きな会場でも、誰も人が来てくれないような場所では、展覧会を開催しても意味はない」、という春敬氏の強い思いによるものとのこと。

そして、その思いを、今、飯島春美先生が、受け継いでいらっしゃいます。

春敬氏の時代よりも、私たちは、展覧会で古筆を見る機会に恵まれています。しかし、逆に、足を運びやすく、長い行列にも並ぶことなく、自然体で、しかも古筆と濃密な出会いのできる、百貨展での書展の意義は、ますます重要なものとなっています。

春美先生は、日本書道美術院を継ぐにあたり、「三代目として、父母の名誉を守って、次の時代に伝えていくのが、私の仕事だと心に決めました」と、語られています。並々ならぬ御決意であったと思います。

今後も、私たちは、飯島春美先生を中心とする日本書道美術院から、書や写本について学ぶ、多くの機会を賜ることになるに、相違ありません。
インタビュー2


早速、春敬コレクションの、大きな展示会が開催されることを、お知らせします。

2008年7月9日(水)から8月3日(日)まで、国立新美術館にて開催される「第60回毎日書道展」東京展の特別展示として、「春敬の眼-珠玉の飯島春敬コレクション」展が開かれます。

 休館:火曜日
 時間:午前10時~午後6時  毎週水曜は午後1時開場  (入場は閉会30分前まで)
 会場:国立新美術館
 入場料:「第60回毎日書道展」入場券で入場(一般700円、大学生400円、高校生以下無料)

【展示案内より】
・「本展には、春敬理事長の学者の眼、書家の眼、そして何よりもその美意識が選び抜いた品々の一端を出陳致します。」

・「日本の書蹟として奈良・平安時代の「写経」から「三筆・三蹟から高野切」へ続くように、「かな」の書風変遷を解り易く展覧します。」

・「なお、本年は「源氏物語千年紀」となりますので、秘蔵の「源氏物語」五十四帖も公開します。現在、中央大学の池田和臣教授がこの室町時代に書写された春敬本「源氏物語」をご精査中です。今日、世に伝えられる写本との内容相違が明らかになれば、国文学上、大きな話題を呼ぶでしょう。」


その他、上田桑鳩氏収集の中国関係資料(拓本、集帖など)や、飯島春敬氏蒐集の文房四宝の展示もあります。
 
飯島春敬氏のコレクションの全容を知り、その志に再び触れることのできる機会の到来に、心躍ります。
春敬の眼

『財界』誌をご恵与くださいました上に、「春敬の眼-珠玉の飯島春敬コレクション」展の開催についてご案内くださいました、財団法人・日本書道美術院、社団法人・書芸文化院理事長の飯島春美先生の御厚情に、心より御礼申し上げます。