2014年4月23日水曜日
小川靖彦『万葉集と日本人』
万葉集が読まれてきた歴史
��小川靖彦『万葉集と日本人 読み継がれる千二百年の歴史』角川選書、KADOKAWA、四六判256頁、2014年4月刊、1600円〈本体〉)
この4月、角川選書の1冊として、私の『万葉集と日本人 読み継がれる千百年の歴史』が刊行されます(4月25日発売)。
平安時代から現代まで、『万葉集』が読まれてきた歴史を辿りました。その時代その時代に『万葉集』がどのように読まれていたかを見つめました。
私の『万葉学史の研究』をベースにしていますが、さらにその後の研究成果も加えて、通史として、日本人が『万葉集』を読んできた歴史を展望しました。
過去の人々が『万葉集』に寄せてきた思いを受けとめ、未来の『万葉集』を考える一つの手ががりとしていただければ幸いです。
【目 次】
はじめに
第一章 『万葉集』と「読む」ということ
第二章 『万葉集』を読んでいた紀貫之―平安時代前期における『万葉集』
一 平安時代初期の『万葉集』
二 菅原道真の『新撰万葉集』
三 『古今和歌集』の万葉像
四 紀貫之と『万葉集』―〈古代〉世界への参入
第三章 紫式部と複数の『万葉集』―平安時代中期における『万葉集』
一 平安時代中期の『万葉集』
二 佳麗な『万葉集』抄出本
三 〈訓み〉による「万葉歌」
四 「訓読」の始まり
五 『万葉集』への関心の高まり
六 藤原道長・頼通による書写
七 紫式部が読んでいた『万葉集』
第四章 藤原定家の〈古代〉―平安時代後期における『万葉集』
一 平安時代後期の『万葉集』
二 後三条天皇・白河天皇の親政と『万葉集』
三 写本の並立と吸収
四 『堀河百首』と『万葉集』
五 冊子本の『万葉集』の登場
六 歌学の時代へ
七 動乱の時代の中の『万葉集』
八 藤原俊成の新たな万葉像
九 「うたの源なり」
十 藤原定家と『万葉集』―〈古代〉への憧憬
第五章 「道理」によって『万葉集』を解読した仙覚――中世における『万葉集』
一 鎌倉武士の『万葉集』
二 源実朝の『万葉集』
三 学僧仙覚による新しい『万葉集』
四 仙覚の「道理」
第六章 賀茂真淵の〈批評〉――江戸時代における『万葉集』
一 印刷本の『万葉集』
二 鑑賞・批評の萌芽――〈批評〉前史
三 方法としての〈批評〉
四 賀茂真淵による〈批評〉の理論化
五 賀茂真淵の「万葉調」
第七章 佐佐木信綱による「校本」と「評釈」――近代における『万葉集』
一 近代日本の『万葉集』
二 江戸から明治へ
三 東京大学における『万葉集』研究
四 「国文学」への関心の高まり
五 和歌革新運動と『万葉集』
六 佐佐木信綱の和歌革新と「評釈」
七 『校本万葉集』
第八章 『万葉集』の未来
参考文献
おわりに