先の記事「再来年4月から青山学院大学文学部日本文学科が変わります」で、2012年度から、青山学院大学文学部のキャンパスが青山キャンパスに統合され、日本文学科のカリキュラムも変わることを、お知らせしました。
ところが、2011年3月11日に東日本大震災の影響によって、文学部のキャンパス統合は、1年延期となりました。これを受けて、日本文学科の新カリキュラムの実施も、2013年4月からの実施となりました。
新カリキュラムは、青山キャンパスで4年間学ぶことを前提に、構想されています。相模原キャンパスと青山キャンパスとに分かれた状況で実施することは、極めて難しいと判断しました。
本当に残念です。そして、申し訳ございません。延期された時間を使って、新カリキュラムをゆるぎないものとして開始できるよう、鋭意準備を進めてゆきます。
なお、今年度、新カリキュラムの、文学分野における国際的な交流を学ぶ科目の先駆けとして、私の「日本文学演習」の授業を、「万葉集研究―ことばの美とその英訳」というテーマで開講しています。アメリカの日本文学研究者エドウィン・A・クランストンによる万葉集歌の英訳をテキストに、英訳を通じて浮かび上がってくる、『万葉集』のことばの美を考察しています。
*Cranston, A. Edwin. A Waka Anthology. Volume One: The Gem-Glistening Cup. Stanford: Stanford University Press, 1993.
ことばにならない複雑な感情を含んだ「やまと歌」を英訳することの難しさを感じたり、英訳によって、今まで当たり前と思っていた解釈を考え直したりしています。この授業では、最終的には、その学生が担当した歌の英訳を、学生自身が作ることを目標にしています。
まだ始まったばかりで、試行錯誤の繰り返しですが、日本語と英語との違い(その背後にある思想も含めて)、その違いの中で、万葉集歌を伝えようとすることの難しさと意義、翻訳というものの創造性などについて、学生の皆さんと少しずつ考えを深めています。
その成果を、いつかこのブログで紹介したいと思っています。