「享(う)け継がれる思い」
先の記事「万葉集1250年の展覧会」で紹介した、「「万葉集」1250年展」(仮称)の詳細がわかりましたので、改めてお知らせします。
柘枝切(つみのえぎれ)を始め、主に早稲田大学図書館の所蔵する、貴重な『万葉集』の写本、万葉学書が出展されています。また、早稲田大学の万葉学の結晶した、窪田空穂の注釈書『万葉集評釈』の原稿も展示されています。『万葉集評釈』は、万葉集歌の心と言葉の本質を、みずみずしく捉えた、必読の注釈書です。
ポスター左上のユーモラスな絵は、洋画家・書家の中村不折(1866~1943)が描いた、「牛飼の左千夫(*歌人の伊藤左千夫)万葉集を繙(ひもと)くの図」です。
「〈万葉集1250年記念〉万葉集~享け継がれるその思い~」
会期:2009年10月16日(金)~11月17日(火)
*日曜・祝日、10月21日(水)・22日(木)は閉室。ただし10月18日(日)は開室。
時間:10時~18時(10月18日は17時まで)
会場:早稲田大学総合学術情報センター2階展示室
主催:早稲田大学日本古典籍研究所
早稲田大学図書館
〈記念講演会〉
「古筆切から見た万葉集の伝本研究」
講演者:田中大士氏(文部科学省)
入場無料・予約不要
日時:2009年10月31日(土) 14時~15時30分
会場:早稲田大学大隈小講堂
主催:早稲田大学日本古典籍研究所(問合せ先も同じ)
【展示資料一覧】
��*「個人蔵」などの注記のあるもの以外は、全て早稲田大学図書館蔵)
『万葉集』の写本と版本
��1]万葉集断簡 鎌倉時代後期写 〔*柘枝切〕
��2]万葉集 寛永20年(1643)刊 〔*寛永版本〕
��3]万葉集 江戸時代後期写
��4]万葉集 宝永6年(1709)刊 〔*宝永版本〕
『万葉集』と同時代の文献・筆跡
��5]古事記 江戸時代末期写 (飯田武郷写)
��6]日本書紀 江戸時代中期刊 (稲葉通邦・通故校合書入)
��7]肥前国風土記 明治3年(1890)写 個人蔵
��8]続日本紀 明暦3年(1657)刊 (村尾元融手沢本)
��9]百万塔 奈良時代
��10]大宅朝臣賀是万呂奴婢見来帳 天平勝宝元年(749)書 重要文化財
【原本の展示は10月29日~10月31日、11月13日~14日】
��11]経疏切(『大般涅槃経集解』巻第56断簡) 奈良時代写 個人蔵
『万葉集』に影響を与えた漢籍
��12]文選正文 天明4年(1784)刊 (坪内逍遥旧蔵)
��13]玉篇 巻第9 8世紀写 国宝
【原本の展示は10月29日~10月31日、11月13日~14日】
��14]藝文類聚 16世紀後半刊
��15]初学記 万暦15年(1587)刊
��16]初唐四傑集 同治12年(1873)刊
��17]敦煌経切(『大般若経』巻第27断簡) 8世紀写 個人蔵
中古・中世の『万葉集』享受と注釈
��18]古今和歌集 正中元年(1324)写か
��19]倭名類聚鈔 寛文7年(1667)刊 (狩谷棭斎書入本)
��20]拾遺和歌集 文明16年(1484)写 (甘露寺親長写)
��21]拾遺和歌集切 14世紀前半写 個人蔵
��22]古今和歌六帖 江戸時代中期写 個人蔵
��23]古今和歌六帖 寛文9年(1669)刊 (伴高渓書入本)
��24]新古今和歌集 江戸時代中期写
��25]柿本人麿像 江戸時代後期写
��26]万葉集註釈 安政5年(1858)写
��27]万葉集目安 天和4年(1684)刊 個人蔵
��28]万葉集抜書 江戸時代中期写 三條西家旧蔵
��29]和歌注釈断簡 江戸時代中期
��30]柿本人麻呂伝記 江戸時代後期写
近世の国学者による『万葉集』研究
��31]万葉代匠記 巻1-20 江戸時代後期写
��32]万葉集類林 江戸時代後期写
��33]万葉考 1-4 明和5年(1768)刊
��34]万葉考巻十六稿本断簡 江戸時代中期書 (賀茂真淵自筆)
��35]本朝水滸伝 明和10年(1773)刊
��36]見処女墓作歌 江戸時代後期写 (荒木田久老自筆)
��37]万葉抄 江戸時代後期写 服部文庫蔵
��38]万葉拾言抄 文政10年(1827)写
��39]万葉集語彙 江戸時代後期写
��40]勢城日記 文政5年(1822)頃写
��41]万葉集略解 安政3年(1856)刊
��42]百氏百人一首 安政4年(1857)写
近代における『万葉集』〈再発見〉
��43]横文字百人一首 明治6年(1873)
��44]万葉集短歌私考 明治38年(1905) (伊藤左千夫自筆原稿)
��45]牛飼の左千夫万葉集を繙くの図 明治時代 (中村不折画)
��46]短評 明治33年(1900) (長塚節筆)
��47]恋十首・万葉ニナラフ 明治33年(1900) (長塚節筆)
��48]万葉集感断片 大正15年(1926) (斎藤茂吉筆)
��49]斎藤茂吉著『柿本人麿』 1934・1940頃写 (土屋文明筆)
��50]『万葉集評釈』原稿 ~昭和22年(1947) (窪田空穂筆)
*なお、展示期間中、早稲田大学會津八一記念博物館で、元暦校本万葉集断簡(巻10・2134)が展示されます。元暦校本万葉集巻第10の筆については、書家で書道史研究者の飯島春敬氏は、"細い勁直(けいちょく)な線で漢字の技法などに特に癖がある”と評しています。数多くの書き手からなる、元暦校本のさまざな書風を、実際に目にする良い機会です
*詳細な情報をお伝えくださった早稲田大学教授・松寿夫氏(日本古典籍研究所所長)に、心より御礼申し上げます。この展示は松氏が企画されたものです。
2009年10月21日水曜日
2009年10月20日火曜日
展示情報(2009年10月~12月)
2009年秋の万葉集の展示
先の記事「万葉集1250年の展覧会」で、今秋の展覧会を紹介しました。その後、新たに得た、『万葉集』に関わる展示情報を紹介します。
○特別展「皇室の名宝-日本美の華」
東京国立博物館 2期 2009年11月12日(木)~11月29日(日) 会期中無休
・桂本万葉集〔平安中期、源兼行筆。現存最古の万葉集古写本〕 御物
・金沢本万葉集〔平安後期、藤原定信筆〕 宮内庁三の丸尚蔵館蔵
��『NHK日めくり万葉集』vol.10で、これらの写本の美しさと見方・味わい方を紹介させていただきました。
○「美(うるわ)しの和紙-天平の昔から未来へ-」
東京・サントリー美術館 2009年9月19日(土)~11月3日(火・祝) 火曜日休館
・桂本万葉集巻第四断簡(栂尾切) 滋賀・MIHO美術館蔵 (10月7日~10月19日)
・元暦校本万葉集断簡 滋賀・MIHO美術館蔵(9月19日~10月5日)
��残念ながら、『万葉集』に関わる展示を終わっています。
��天平写経や平安写経が数多く出品されています。
��10月21日から11月3日までの期間には、
高野切古今集第二種断簡(源兼行筆)〔東京・五島美術館蔵〕
和漢朗詠集巻下断簡(藤原定信筆)〔京都国立博物館蔵〕
などが展示されます。
○企画展「冷泉家 王朝の和歌守(うたもり)展」(冷泉家時雨亭叢書完結記念、朝日新聞創刊130周年記念)
東京・東京都美術館 2009年10月24日(土)~12月20日(日)
毎週月曜日休室(月曜日が祝日の場合は開室、翌日休室)
��和歌に関わる貴重な典籍が、数多く出品されています。
��冷泉家時雨亭文庫には、金沢本万葉集巻第18、万葉集抄(最古の万葉集注釈書)、万時(藤原俊成の、万葉集成立に関する論考)、万葉集註釈巻第1・巻第3(仙覚著)、楢葉(ならのは。肖柏の万葉抄出書)などの、万葉集に関わる貴重な写本があります(「冷泉家時雨亭叢書」第39巻所収)。
��これらが今回の企画展で展示されるかどうかについての情報は、まだ得ていません。
先の記事「万葉集1250年の展覧会」で、今秋の展覧会を紹介しました。その後、新たに得た、『万葉集』に関わる展示情報を紹介します。
○特別展「皇室の名宝-日本美の華」
東京国立博物館 2期 2009年11月12日(木)~11月29日(日) 会期中無休
・桂本万葉集〔平安中期、源兼行筆。現存最古の万葉集古写本〕 御物
・金沢本万葉集〔平安後期、藤原定信筆〕 宮内庁三の丸尚蔵館蔵
��『NHK日めくり万葉集』vol.10で、これらの写本の美しさと見方・味わい方を紹介させていただきました。
○「美(うるわ)しの和紙-天平の昔から未来へ-」
東京・サントリー美術館 2009年9月19日(土)~11月3日(火・祝) 火曜日休館
・桂本万葉集巻第四断簡(栂尾切) 滋賀・MIHO美術館蔵 (10月7日~10月19日)
・元暦校本万葉集断簡 滋賀・MIHO美術館蔵(9月19日~10月5日)
��残念ながら、『万葉集』に関わる展示を終わっています。
��天平写経や平安写経が数多く出品されています。
��10月21日から11月3日までの期間には、
高野切古今集第二種断簡(源兼行筆)〔東京・五島美術館蔵〕
和漢朗詠集巻下断簡(藤原定信筆)〔京都国立博物館蔵〕
などが展示されます。
○企画展「冷泉家 王朝の和歌守(うたもり)展」(冷泉家時雨亭叢書完結記念、朝日新聞創刊130周年記念)
東京・東京都美術館 2009年10月24日(土)~12月20日(日)
毎週月曜日休室(月曜日が祝日の場合は開室、翌日休室)
��和歌に関わる貴重な典籍が、数多く出品されています。
��冷泉家時雨亭文庫には、金沢本万葉集巻第18、万葉集抄(最古の万葉集注釈書)、万時(藤原俊成の、万葉集成立に関する論考)、万葉集註釈巻第1・巻第3(仙覚著)、楢葉(ならのは。肖柏の万葉抄出書)などの、万葉集に関わる貴重な写本があります(「冷泉家時雨亭叢書」第39巻所収)。
��これらが今回の企画展で展示されるかどうかについての情報は、まだ得ていません。
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